株式会社一倉製作所

確かな技術と誠実な姿勢で、顧客の信頼を獲得。
次は、微細成形技術を活かして、医療分野へ。

設立 昭和42年(1967)11月
代表者 一倉 良仲
所在地 北群馬郡榛東村広馬場1527
資本金 2,000万円
従業員数 48名
TEL 0279-54-2222
FAX 0279-54-2863
HP http://www.ichikura-ss.jp/
【経営革新計画のテーマ】

異業種企業からの高付加価値・高利益製品の元請け受注化

期間:平成16年4月~21年3月

世界初、樹脂製マスカラブラシに成功。

 昭和39年の創業以来、金型製作から射出成形部品の生産を一貫して手がける株式会社一倉製作所。20台の射出成形機が並ぶ工場内では、化粧品関連製品、自動車部品、電子部品とさまざまな製品が製造されている。
 もともとは電気部品が主力だった。平成5年に化粧品容器部門に参入。美観が重要視される化粧品容器のキャップ生産に、同社が独自開発した、キャップの内側へ樹脂の注入口を配置した特殊な金型を使うことで対応。取引先の信頼を獲得した。また、マスカラ用ブラシの生産を開始。当時、マスカラのブラシは、ステンレスの針金にナイロンを巻き付けたものが主流だったが、同社はマスカラ用のブラシを樹脂で成形する技術の開発に、世界で初めて成功した。
 平成13年に樹脂製マスカラブラシの製品化に成功してから、現在までに累計で500万個を生産した。最初は不良品が出るのではないかと心配したというが、これまでノートラブル。「これが大きな自信につながった」と話すのは一倉史人専務だ。最新の樹脂製ブラシの先端は、わずか0.16ミリ。同社の極微細成形技術の蓄積とともに、年々進化を遂げている。

県プラスチック工業振興協会の副会長も務める一倉専務 同社の樹脂製マスカラブラシは年々、進化している 最新は0.16ミリ
(写真上)県プラスチック工業振興協会の副会長も務める一倉専務
(写真中)同社の樹脂製マスカラブラシは年々、進化している
(写真下)最新は0.16ミリ
付加価値ある製品づくりで、自動車部品に参入。

 同社は平成16年、自動車部品に参入することで、経営革新を図った。プラスチック成形だけでなく、塗装、印刷、ホットスタンプ、蒸着、メッキなどの加飾から組み立てまで一貫して対応し、高品質で付加価値をつけた製品を生産するというものだ。同社は自動車部品に対応する設備を導入。自動車やオートバイのメーターバイザーの生産を開始した。「どこでもできるものでは、コスト勝負になってしまう。とにかく、難しいものを受注する」と一倉専務。この狙いは功を奏し、その後も、受注アイテムは増加。現在では、自動車部品は同社の主力製品になっている。

同社が手がけたオートバイのメーターバイザー製品 整理整頓された工場内では、さまざまな製品が製造されている 整理整頓された工場内では、さまざまな製品が製造されている 整理整頓された工場内では、さまざまな製品が製造されている
(写真上)同社が手がけたオートバイのメーターバイザー製品
(写真中・下)整理整頓された工場内では、さまざまな製品が製造されている
新たな挑戦、樹脂製注射針の製品化。

 現在、同社が目指しているのは、医療分野への進出だ。4年ほど前から、樹脂製注射針の開発にチャレンジしている。医療現場で使用される注射器は使い捨て。シリンジの部分と針を分け、シリンジは一般的な医療廃棄物へ、針の部分は特殊な処理を行い廃棄されている。ところが、廃棄に至るまでの過程で、医療従事者に誤って刺さってしまう事故が多発している。最悪の場合、感染症にかかってしまうケースもあり、医療業界では、安全で廃棄コストも安く済む樹脂製注射針の実現が望まれている。
 経済産業省の「平成21年度ものづくり中小企業製品開発等支援補助金」と、22年度、24年度と「戦略的基礎技術高度化支援事業(通称サポイン)」の採択を受けた同社は、世界初の樹脂製注射針の製品化に取り組み続けている。このほど、これまで培ってきた微細成形技術と、新たに開発した中空構造技術を合わせ、内径0.2ミリの樹脂製注射針の試作に成功した。今後は、大手医療機器メーカーとともに、予防接種等に使用される注射針の製品化に向けて取り組んでいくという。

樹脂製注射針の開発に挑戦中 樹脂製注射針の開発に挑戦中 樹脂製注射針の開発に挑戦中
樹脂製注射針の開発に挑戦中
取材こぼれ話

試作品の樹脂製注射針を空にかざしてみると、わずか0.2ミリの小さな穴から光が差し込んできた。思わず「すごい!」と感嘆の声がもれた。「樹脂製の注射針ができるはずがない」。開発当初は、そんな声を耳にすることもあったという一倉専務。細くて長いものを作る技術はどこにも負けないという自信と、「プラスチックに作れないものはない」という考えで開発に取り組んだ。小さな穴は、大きな可能性を秘めている。

取材記者の目

24時間・フル稼働を続ける工場では、多岐にわたる製品が生産されていました。整理整頓された工場で、いい表情をして働く社員の方々の姿がとても印象に残りました。

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