永井酒造株式会社

「水芭蕉」「谷川岳」の名を世界へ、
日本酒を愛する酒蔵の挑戦。

設立 昭和27年(1952)(明治19年創業)
代表者 永井 則吉
所在地 利根郡川場村門前713
資本金 4,000万円
従業員数 30名
TEL 0278-52-2311
FAX 0278-52-2314
HP http://www.mizubasho.jp
【経営革新計画のテーマ】

高級酒のビン貯蔵方式と低温物流システムの確立

期間:平成14年4月~17年3月

川場の水を使った、「水芭蕉」「谷川岳」。

 永井酒造株式会社は、明治19年創業。清らかな川場の水を活かした酒造りで、「水芭蕉」、「谷川岳」といった銘酒を世に送り続けている。水芭蕉は、平成9年から国内向けの出荷とともに、海外輸出を開始。今では、世界18カ国に輸出されている。
 「世界に名の通る日本酒を造りたい」。そんな思いから同社は、平成6年、約12億円もの資金を投入し、新酒蔵を建設した。新酒蔵は、吟醸造りに適し、発酵に最良な環境条件を生み出す空間作りを徹底したもの。「人でしかできないこと、機械でもできることを完全に分けた」と話すのは、永井則吉社長だ。人や技を大切にするからこそ、機械化を進める。新酒蔵では、できる限り機械化を進めることにより、人にしかできないこと、すなわち、機械化できない先人たちから引き継いでいる技(見た目、香り、手触り、発酵中の音)に対して、人が丁寧に向き合う時間をさらに長くした。

酒づくりへの思いを語る永井社長 豊かな自然の中にたたずむ同社 新酒蔵の内部
(写真上)酒づくりへの思いを語る永井社長
(写真中)豊かな自然の中にたたずむ同社
(写真下)新酒蔵の内部
新酒蔵建設に続いて、びん燗設備の導入へ。

 新酒蔵で新たな酒造りをスタートした同社が、次に取り組んだのが、貯蔵方法と物流システムだ。「酒造りのゴールは、蔵から出荷した時ではなく、お客様の喉を通過する時」と酒造りの原点に立ち返ったという同社は、平成14年、びん燗設備の導入を図る経営革新計画を進めた。
 一般的には、製造清酒を大型タンクに貯蔵し、出荷の都度、清酒を過熱処理し、常温物流で販売店まで運ぶが、同社は、大吟醸などの高級酒と同じく、瓶詰めした後、間接的に湯煎をして殺菌するびん燗方法を選択。また、清酒の酸化を防ぐため、冷蔵倉庫で貯蔵し、低温輸送することで、清酒の劣化をなくす設備を整えた。これにより、同社のすべての酒が、大吟醸と同じ殺菌方法で出荷されるようになった。
 消費者からの反応はすぐにあったという。「お客様は正直です。酒がうまくなると評価してくれる」と永井社長。酒の質を高めることにまい進し続けた成果が、着実に売り上げに結びついている。

旧酒蔵「古新館」には同社の酒が並ぶ旧酒蔵「古新館」には同社の酒が並ぶ 旧酒蔵「古新館」には同社の酒が並ぶ
旧酒蔵「古新館」には同社の酒が並ぶ
世界が認めた発泡清酒、ビンテージ日本酒も。

 平成20年、同社は発泡する清酒「MIZUBASHO PURE」を完成させ、業界関係者を驚かせた。シャンパンと同様にビンの中で2次発酵させる独自製法を開発。永井社長はシャンパンの文献を研究するだけではもの足りず、本場フランスのシャンパーニュ地方に滞在して、本場の製法を体験した。構想から10年、5年の歳月と700回の失敗を重ね、ようやく完成した、珠玉のスパークリング日本酒だ。清酒なのに、シャンパンのような微細な泡が立ち上がり、ほのかにお米の味わいが楽しめる。国内外からの注文があり、なかでも、世界で一番予約が取れないといわれる、スペインの「エル・フジ」などの各国の有名レストランで採用されている。
 また、平成25年秋には、2004年のビンテージ日本酒を発売する。20年ほど前から同社が取り組んでいるもので、ようやく、理想の酒が完成したという。今後も、ビンテージシリーズを販売していく予定だ。
 同社が目指すのは、世界に名の通る日本酒を造ること。そして、フランス・シャンパーニュ地方のように、生産者と一体となって、酒造りをし、観光客が訪れる地域にしていくこと。その夢の実現に向かって、同社は一歩ずつ進んでいる。

発泡する清酒「MIZUBASHO PURE」 「水芭蕉」と「谷川岳」 「水芭蕉」と「谷川岳」
(写真上)発泡する清酒「MIZUBASHO PURE」
(写真中・下)「水芭蕉」と「谷川岳」
取材こぼれ話

永井社長は、酒類総合研究所が認定する清酒専門評価者だ。同評価者は、感覚の感受性が高く、清酒の香りや味の多様な特徴を評価するのに一貫して反復可能な能力を有している評価者で、清酒の官能評価の経験があるとともに、清酒の製造方法や貯蔵・熟成に関する知識を有している専門家のこと。利き酒師の中の利き酒師といわれている。全国にまだ48人しかいないが、同社の杜氏も、同評価者の認定を受けているそうだ。

取材記者の目

同社前に小さな祠があり、そこから同社の仕込み水が流れ落ちています。「うちの仕込み水はおいしいですよ」という永井社長の言葉に促され、いただいてみました。本当においしい! よき水のあるところ、銘酒ありとはこういうことかと思いました。

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