株式会社プリテック

独自に開発した、業界初の静電気を帯びたゴミ・埃の除去装置で
大幅な歩留まりアップを実現。

設立 平成5年(1993)5月
代表者 永長 隆昌
所在地 館林市近藤町372-6
資本金 1,000万円
従業員数 20名
TEL 0276-76-8451
FAX 0276-76-8452
【経営革新計画のテーマ】

プラスチック製品塗装時の静電気による埃除去装置の開発

期間:平成19年9月~23年8月

プラスチックの塗装と印刷加工。

 株式会社プリテックは、平成5年、邑楽郡邑楽町に設立。平成17年、館林金属工業団地に館林工場を稼働させ、19年、本社を館林工場に移転した。同社は、携帯電話やデジカメのカバーといったプラスチックの塗装、印刷加工を行っている。
 同社は、平成19年から4年間、プラスチック製品塗装時の埃除去装置の開発に取り組んだ。狙いは、歩留まりの改善。プラスチック部品を塗装する前に行う埃除去作業が、歩留まりに直結する重要な工程であることから、手作業による手間やコストをかけることなく効率よく作業をし、歩留まりを高めることで、利益率の大幅な向上を目指そうとするものだ。

今後、新たな事業を展開していきたいという永長社長
今後、新たな事業を展開していきたいという永長社長
研究を重ね開発した、静電気を帯びたゴミ・埃除去装置。

 当時、約30%の不良製品が出ていたという。その原因は、塗装する前のプラスチック製品についている静電気を持ったゴミ・埃類だとわかったものの、それは肉眼では到底判断できないような小さなもの。「我々が扱うのは、非常に静電気を帯びやすいプラスチック。静電気を除去しても、エアーブローをかけても、肉眼ではわからないゴミは取れなかった」と、永長隆昌社長と技術アドバイザーとして同社と契約していた斎藤幸男さんは、当時のことを振り返る。
 「静電気を帯びたゴミ・埃はなぜ、付いてしまうのか」、「どうすれば、除去できるのか」。永長社長も斎藤技術アドバイザーも頭を抱える日々が続いたという。一般に、携帯電話に使われるプラスチック部品の材質は、ABS(アクリル、ブタジエン、スチロール)材、または、PC(ポリカーボネート)材が用いられている。生産が忙しくなると、不良率もアップするなど、プラスチック成形時に発生する静電気を帯びた粘り気のあるゴミ・埃に気づいたのは、数年後だった。
 この粘り気のある静電気を帯びたゴミ・埃はなぜ、発生するのかについて、徹底的に追求した(大学の研究所に分析依頼し、電子顕微鏡で調査する)。ABS材(複合樹脂)に含まれるアクリルブタジエンスチロールのブタジエンに主眼を置いた追求を重ねた結果、ブタジエンはゴム系樹脂のため、樹脂が溶解する220~240度の高温では、ゴムのガスが発生することが判明した。ゴムのガスが成形金型に付着するが、初めは微量のため、あまり影響を受けなかった。
 しかし、数千回、数万回の成形を繰り返すことで、金型に粘り気のガスが溜まって、ワークに微量ずつ付着し、だんだん量が多くなると、ゴミ・埃が一旦付着すると簡単には除去できないことが分かった。また、成形している工場は、一般的にクリーンルームで成形していないため、ゴミ・埃が舞い上がっている。ワークは静電気を帯びているので、瞬時にゴミ・埃を付着してしまう。これらのゴミ・埃は特殊溶剤を用いて、機械的に研磨しないとはがれないことも分かった。
 そこで、成形担当している業者に1日に1回金型を洗浄していただくようお願いするが、生産が忙しくなると、そのルールが守られず、形があって、物ができれば、すべて後工程の責任であるという考えが通常であった。表面処理を担当する会社は生地が無償の時は、歩留まりに関係なく、多少の利益が出ていたが、生地が有償支給に変わった時から利益が圧迫され、これまで泣いてきたのが現状である。
 そこで、同社は、特殊な静電気除去溶剤を用いて、特殊なブラシにて機械的に静電気を帯びたゴミ・埃を強制的に剥離することに成功した。特殊ブラシも静電気除去溶剤も、独自に開発した。その他にすべて公開できないノウハウ技術も含め、ライン導入することで、大幅な歩留まりアップにつながり、取引メーカー(客先)より信頼を受け、評価された。信頼度も企業価値も高まった。

同社の塗装ライン 同社の塗装ライン 埃除去装置の開発は困難の連続だったという斎藤さん
(写真上)同社の塗装ライン
(写真中)独自に開発した埃除去装置
(写真下)埃除去装置の開発は困難の連続だったという斎藤さん
あらゆる塗装・印刷加工に対応。

 ISO9001を取得している同社は、さまざまな受注に対応するため、手吹き塗装ラインはもちろん、静電スピンドル塗装ライン設備、ロータリー塗装ライン設備、ロボット塗装ライン設備を導入している。永長社長は「あらゆる塗装に対応できる」と話している。
 スクリーン印刷機など、さまざまな設備がそろう、印刷加工についても同様だ。平成24年には、真空蒸着機を導入。これにより、プラスチックだけでなく、ガラスのほか、曲面印刷も可能になった。真空蒸着機の導入で、化粧品関連製品の印刷加工も手がけるようになった。今後も多岐にわたって、同社の技術をアピールし、受注につなげていくという。

真空蒸着機 真空蒸着機で生産する化粧品製品
(写真上)真空蒸着機
(写真下)真空蒸着機で生産する化粧品製品
取材こぼれ話

同社の良触感塗装(ソフト高級感)生産技術は、平成15年、群馬の1社1技術に認定された。通常、塗装には溶剤系塗料が使われるが、同社のこの技術は、環境にやさしい水性塗料を使ったもので、日本で初めての生産だったという。10年ほど前から、環境問題に関心があった同社は今後、環境にやさしい塗装設備装置に取り組んでいくという。同社の工場をモデルにし、環境にやさしい塗装設備を広めていきたいとしている。

取材記者の目

工場の床に水たまりがありました。静電気防止のため定期的に天井からミストを噴射しているとのこと。さまざまな配慮に驚くとともに、清潔な工場内できびきび働く従業員の方々が印象的でした。

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