株式会社天坊

団体から個人への変化に対応する、
大型ホテルならではの事業展開。

設立 昭和25年(1950)7月
代表者 伊東 實
所在地 渋川市伊香保町伊香保396-20
資本金 1億円
従業員数 124名
TEL 0279-72-3880
FAX 0279-72-4611
HP http://www.tenbo.com
【経営革新計画のテーマ】

多種多様な顧客ニーズに対応する客室のリノベーションと
食のハーフバイキング提供方式の導入

期間:平成19年4月~22年3月

団体から個人客への対応。

 株式会社天坊は、石段街で知られる伊香保温泉を代表するホテル・旅館のひとつである。昭和42年にそれまで経営していた2軒の温泉宿を売却し、新たに現在の場所で大型観光旅館をオープンさせた。
 経営革新のきっかけとなったのは、業界全体が団体客主体からグループ・家族といった個人客が主流になったことだ。そうした変化に、大型旅館がどう対応していくかが課題となった。そこで、これまでの団体用客室にユニバーサルデザインの機能を取り入れたリノベーションを実施し、高齢者や障がい者の方が利用しやすくした。さらに、畳の宴会中心の食事スタイルを改め、個人客向けに新たな食の提供方法として、地元の食材を中心としたハーフバイキング方式等、多様な食事方法を導入した。
 その結果、経営革新計画前は約40%だった個人客(1組の人数が5人まで)が、計画後の平成24年は45%と拡大している。

建物全景 オープンキッチンスタイルの旬の坊
(写真上)建物全景
(写真下)オープンキッチンスタイルの旬の坊
経営革新計画は現在も継続中。

 客室の改装については、すべての利用客に使いやすいユニバーサルデザインにこだわって、毎年行っている。平成25年4月までにすでに70室余りで改装が完了した。バリアフリーは、車椅子への対応一つをとっても制約が多いため全客室に導入することは難しいので、何室かモデルルームとして改装した。貸し出し用の車椅子の台数も増やしている。今は6台あるが、年々要望が増えている。浴場についても障がい者対応に心がけている。
 食事の提供方法については、会議室や朝食用など多目的に利用していたホールをオープンキッチンの食座「旬の坊」に改装した。当初はハーフバイキングということで、あらかじめ用意したメニューと自由に選べるバイキングを併用したが、現在は調理師が目の前で料理を提供するオープンキッチンスタイルに移行している。その結果、お客様一人あたりの担当者数が減り、その分のコストで食材をより豊富にすることができるというメリットとなった。
 客室においたアンケート等からも、概ね好評という結果が出ているそうだ。

ユニバーサルデザインに配慮した館内ユニバーサルデザインに配慮した館内 大型旅館の良さを活かしたいと語る伊東社長

(写真上・中)ユニバーサルデザインに配慮した館内
(写真下)大型旅館の良さを活かしたいと語る伊東社長

さらなる集客アップを目指す。

 ホテル天坊は、宿泊プランの多様さが特色だ。183室ある部屋からは、露天風呂付客室や大正モダンなユニバーサルデザイン客室などが選べる。食事は、前述の「旬の坊」の他、懐石料理の「湯の花亭」、古民家風掘りごたつ式の「船尾」、開放感あるレストラン「アスティア」の4カ所がある。温泉も、黄金の湯と白金の湯の2つの源泉があり、それぞれ大浴場、露天風呂、貸切家族風呂等がある。部屋のタイプと食事内容等を組み合わせると、あらゆる年代、家族構成、個人に対応できる。
 これからの課題の一つは、リーマンショック後の落ち込みをどう取り戻せるかだ。まずは伊香保温泉への誘客だが、石段の整備や各種イベントの開催、さらに近隣にある富岡製糸場の世界遺産推薦決定などにも期待している。
 後継人材育成にも力を入れている。この業界では珍しい同族会社ではない同ホテルでは、次期社長を育成する制度があり、「天坊の将来はどうあるべきか」について皆で話し合っているという。時代のニーズに応えて変革してきた天坊は、内面からの変革も進めている。

野趣あふれる大岩風呂 開放感あるだんだんの湯 夜景
(写真上)野趣あふれる大岩風呂
(写真中)開放感あるだんだんの湯
(写真下)夜景
取材こぼれ話

伊東社長は社員から社長になった。創業者一族の前社長が亡くなった時、ご子息はアメリカで事業を営んでいたため、後継者候補となっていなかった。長男長女だから跡を継ぐのではなく、やりたいという意欲ある人が社長になるというのは、ある意味自然な流れだ。これまでに経営をバトンタッチしやすいように資本の整備を行ってきた。現在は「後継塾」を開催して後継人材の育成に着手しているそうだ。

取材記者の目

運営的にも営業的にも大型旅館が好きとおっしゃる伊東社長。稼げるときは頑張って、暇なときはみんなで休めばいいというおおらかな人柄が、明るい館内の雰囲気にも反映しているようでした。

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