日本ゼウス工業株式会社

生ゴミを液肥へ。
水・空気・土にこだわり、持続可能な完全循環型社会に挑戦。

設立 昭和53年(1978)
代表者 田中 榮一
所在地 桐生市広沢町3丁目3840-1
資本金 1,000万円
従業員数 6名
TEL 0277-52-5434
FAX 0277-54-3894
HP http://n-zeusu.co.jp/
【経営革新計画のテーマ】

食品残渣から作る有機土壌活性液の精製装置の開発、
その液肥の販売及び野菜の栽培と栽培方法の普及

期間:平成14年10月~19年9月

水処理からスタートして、生ゴミのリサイクルへ

 食品の廃棄物など生ゴミから液体肥料を生産する装置の製造・販売と液肥の普及をテーマに経営革新を行い、順調に業績を伸ばしている日本ゼウス工業株式会社。
 35年前の設立当初は、桐生市の水道局や下水処理場、地場産業の染色工場などを顧客に、排水処理のための工業薬品の販売を行っていた。繊維業界の衰退に伴い、排水処理薬品の売り上げが落ちる中、食品業界に進出。当時は殺菌に添加物を使う方法が全盛であったが、添加物を使わずに残留性のない、より安全な食品加工をできないかと研究を重ね、オゾンによる殺菌方法を確立し、オゾン発生機の開発製造を始めた。
 水、そして空気をきれいにするための研究開発を進めるうちに、生ゴミの焼却処理に疑問を持った田中榮一社長。「食品残渣は自然の原理原則に則り、土に返すべきである」との考えから、燃やさないでリサイクルする方法を模索。平成元年、粕川村(現前橋市)に10aの畑を借上げ、発酵させたり粉末にしたりと試行錯誤の結果、液体にすることが最上の方法であるという結論を得た。そうして完成させたのが「有機土壌活性液製造装置」である。

完全循環型社会への挑戦を語る田中社長 生ゴミを装置に投入 消化液で発酵させる
(写真上)完全循環型社会への挑戦を語る田中社長
(写真中央)生ゴミを装置に投入
(写真下)消化液で発酵させる
人体の構造を機械で再現。画期的な製品が各方面で注目を浴びる

 この装置の基本的な考えは「人が食物を食べて消化吸収するまでの過程の機械化」だという。投入された生ゴミは、歯の代わりに特殊な撹拌装置で傷を付け、腸に当たる部分に入れた消化液で溶かす。消化液も、乳酸菌や光合成細菌等を利用して発酵させて良質のアミノ酸を作り出すことに成功した。長期間かかる堆肥と違って、たった24時間で生ゴミが良質の液肥に生まれ変わる。精製した液肥を使って土壌を活性化させれば、安全で栄養豊富なおいしい有機野菜を生産することができる。平成10年には群馬県新製品研究・試作支援事業に認定され、11年から公設市場や学校給食の残滓処理を始めた。また、群馬県の1社1技術選定や、13年には財団法人中小企業異業種交流財団の異業種交流成果表彰優秀製品賞として全国5製品の1つにも選ばれた。

小高町に設置された装置宇都宮市に設置された大型プラント 宇都宮市に設置された大型プラント 中小企業異業種交流財団の優勝製品賞を受賞
(写真上)小高町に設置された装置
(写真中・上下)宇都宮市に設置された大型プラント
(写真下)中小企業異業種交流財団の優秀製品賞を受賞
地球環境にやさしい循環型の農法の普及を目指す

 経営革新計画は、平成14年から5年計画。桐生市の国際きのこ会館に第1号を設置して以来、日本栄養給食協会ほか国内40カ所以上、中国、韓国にも納入実績があり、各種メディアにもたびたび取り上げられるようになった同社だが、装置の開発中には、周囲に理解してもらえず、怪しまれたり、敬遠されたりしたこともあったとか。経営革新計画を策定したことで社会的な信用が増し、事業を推進する上で大きなメリットとなったという。
 同社では、装置の販売とともにアグリ事業として、化学肥料も除草剤も使わず、液肥で土壌改良を行う「ビーパックス(BePCCS)農法」の普及にも努めている。しきさい農園で栽培したじゃがいもの収穫時期に合わせて催す「ジャガイモ祭り」には、年々多くの来場者が訪れ、大好評を博している。
 今後は、液肥「アミノエナジー」や液肥をつかった土壌改良剤の販売にも本格的に取り組み、地球環境にやさしい農業、完全循環型の暮らし方を広めていきたいという。

自主農場で催された「ジャガイモ祭り」は大盛況 自主農場で催された「ジャガイモ祭り」は大盛況 液肥「アミノエナジー」と土壌改良剤 液肥「アミノエナジー」と土壌改良剤 社屋の周りには各種の実験装置が設置されている
(写真上・2枚目)自主農場で催された「ジャガイモ祭り」は大盛況
(写真3・4枚目)液肥「アミノエナジー」と土壌改良剤
(写真下)社屋の周りには各種の実験装置が設置されている
取材こぼれ話

震災前の南相馬市のゴミ集積所にも設置されていたという同社の装置。そこでは小収店方式(市民がゴミを26種に分別して持ち込み、ポイント制で商品券に替えられる)が採用され、地域のお年寄りたちが、毎日楽しみながらゴミを持ってきていたそうだ。環境対策はもちろん、お年寄りたちにとってはお小遣いにもなり、歩くことでリハビリにもなり、コミュニティの活性化にも役立っていたとのこと。全国に広めたいすばらしい取り組みだと思った。

取材記者の目

製造販売している有機土壌活性液製造装置のほかにも、実験中のさまざまな装置が社屋の内外に設置されていました。思いついたことはすぐに試してみるという田中社長。画期的なアイデアは、この試行錯誤の中から生まれているのですね。

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